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杉本彩さん「子犬工場」に怒り 「モノ」定義が問題の根源

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杉本彩さん「子犬工場」に怒り 「モノ」定義が問題の根源

2018年3月3日(土) 福井新聞


「命を売り買いすることについて考えてほしい」と話す杉本彩さん=東京都内

福井県坂井市の動物飼育施設で約400匹の犬や猫が過密状態で飼育、繁殖されていた問題が波紋を広げている。
「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」理事長として愛護活動に熱心に取り組む女優杉本彩さんに、現場の動画を見てもらい、問題点や国内ペット事情を聞いた。

―福井にある「パピーミル(子犬工場)」状態の動物飼育施設の動画を見て。
見るからにスペースと犬の数が合ってなく過密状態です。
(激しく回り続ける行動など)大きなストレスがかかっていて、心身ともにかなり厳しい状態でネグレクト(必要な世話がされていない状態)だと思います。
大量に子犬を生産し、流通に乗せるということ自体、人道的なビジネスではありません。
こういう業者は許せません。

―県の指導で100匹以上が別の業者に譲渡され250匹になった。
いくら100匹を譲渡しても、250匹を3人で飼育するとなると単純計算で1人83匹です。
とても適正飼育できる数でないことは、誰が見ても分かるはずです。
給餌、犬舎の清掃、1人で80匹以上の散歩をすることは到底不可能です。
接触する時間が短いと体調の変化に気づくこともできません。
また、冷たくて硬い金網のケージの中に閉じ込めたままの飼育状況も改善されたわけではありません。
動物の自由が奪われたままの、福祉を無視している事実はまったく変わっていないと思います。

―大量生産が行われる理由や問題点は。
動物愛護管理法自体が未成熟で、動物を命ある「モノ」として定義づけているのが、問題の根源だといつも感じます。
とにかく小さくて、一番かわいい時期に、消費者に衝動買いを促すようなやり方で売られます。
子犬や子猫が小さくてかわいく見える時期はあっという間です。
その間の幼齢の子犬、子猫でショーケースを埋めるために、どれだけの犬猫が流通に乗らなくてはならないか想像してください。
そのために大量生産されるのです。
そして大量生産・大量流通・大量消費を促すビジネスには、余剰在庫、不良在庫はつきもの。
命ある動物であってもモノと同じように廃棄処分という運命をたどるんです。

―ペットを迎える人の意識はどうか。
命に値段が付けられ、売れずに大きく成長していくと、どんどんディスカウントされていきます。
そういうことに、もっと違和感を覚えてほしいです。
売れない場合、この子犬子猫はどうなるんだろうと・・・。
衝動買いさせるために、(動物を飼う上で)面倒なこと、大変なことを説明しないショップがあります。
消費者に冷静になって考える余地を与えず「散歩は必要ないですよ」とか「あまり大きくならないから楽ですよ」と言い、命を一気に売ってしまいます。
また、遺伝性の病気はすぐには出てきません。
病気が発覚してから飼育放棄して行政に持ち込む人も少なくありません。
消費者はショップから購入するリスクを認識するべきです。

―今年は動物愛護管理法の改正がある。
坂井市の飼育施設内の状況はネグレクトで、現在の法律で十分取り締まれると思います。
ですが裁量的だと自治体判断でばらつきが出ます。
実効性を上げる方法が必要です。
飼育頭数に対して何人が必要か、母体の一生における出産回数や年齢の制限、飼育スペースの問題といった定義を明確化していくことで警察も行政も動きやすくなります。
ただ、動物の虐待や殺傷に対する刑罰は軽く、不起訴になることも多いです。
動物虐待は重罪だというところまで厳罰化していかなければなりません。

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