案内犬ゴン 金のおしゃれ(和歌山)
2018年1月15日(月) 朝日新聞
金色の装飾がついた「高野山案内犬ゴンの碑」=九度山町慈尊院
高野山への町石道の出発点にある世界遺産の慈尊院(九度山町)で、かつて参詣(さんけい)者の道案内をしていた犬のゴンの石像が、金色の羽織と金色の背景の板で飾られている。
寺によると、ゴンは1980年代後半から慈尊院あたりに住み着いた元野良犬で、参詣者の道案内をするように慈尊院から高野山上まで通い、「お大師さんの犬」などと親しまれたが、2002年に息を引き取った。
その後、「高野山案内犬ゴンの碑」が境内の弘法大師像の横に建てられた。
今年が戌(いぬ)年ということで金色の飾りを付けることになったといい、安念清邦住職は、これからも訪れる人にゴンの話をし続けていきたい、としている。
(鈴木芳美)
【看板犬探訪】真田丸の舞台・九度山に実在した高野山の案内犬ゴン
(抜粋)
Petomorrow
NHK大河ドラマ『真田丸』の舞台として注目を浴びた和歌山県の北部に位置する山あいの町、九度山町(くどやまちょう)。
弘法大師(空海)が開いた聖地とし名高い高野山の玄関口として知られるほか、弘法大師の母公のお寺・慈尊院があることでも有名だ。
そんな慈尊院の境内に、1匹の犬の碑があるのをご存知だろうか。
「高野山の案内犬ゴン」として活躍した伝説の白い犬の碑だ。
「高野山の案内犬ゴン」とは、その名のとおり高野山の参詣者を案内していたことからその呼び名がつけられたのだが、そのエピソードはまさに不思議そのもの。
元々野良犬だったゴンが慈尊院付近に姿を現しはじめたのは昭和60年代の頃。
お寺の鐘の音から連想し名付けられたゴンは、誰に教わることもなく、高野山の玄関口である九度山駅に降り立った参詣者を慈尊院まで道案内。
これを繰り返していくことで、いつしか慈尊院に住みつくようになっていったのだが、実は、ゴンの道案内にはまだまだ続きがあったのだ。
「ある日のこと、高野山から『参詣者の方々が犬に案内されてましたよ』という連絡をもらってびっくりしたんです。なにせ慈尊院から高野山までは20km以上、人間の足で7〜8時間はかかりますからね。私はお寺にいるので、普段はゴンの行き先を把握できませんでした。多くの方々の体験談によって知ることができたのです」(慈尊院・安念清邦住職)
なんと、九度山駅から慈尊院までだけではなく、慈尊院から高野山までも参詣者を案内していたのだ。
しかもその後も、ゴンが慈尊院に住んでいると知った参詣者から「高野山までの道のりをゴンに案内してもらった」というエピソードが数多く寄せられた。
中には、「ご飯をあげようとしても欲しがらない」「途中で休憩すると一緒に待ってくれる」などの話も出てきたという。
まるで、高野山まで無事に案内するのが私の役目、と言わんばかりのエピソードだ。
しかも、約1200年前の弘法大師の時代にも高野山の案内犬が存在していた、という伝説があることから「弘法大師の案内犬の再来・生まれ変わり」「お大師さんの犬」などと言われ親しまれてきたという。
そんなゴンは、弘法大師の母公の命日でもある2002年6月5日に息を引き取った。
その死を惜しみ「高野山の案内犬ゴン」の碑が慈尊院の境内に建立されたというわけだ。
このゴンの話は、今もなお語り継がれており、感銘を受けた多くの人がゴンをテーマにした作品を手がけている。
『高野山の案内犬ゴンの歌』を制作したミュージシャン・ラジオパーソナリティのバンディ石田さんもそのひとりだ。
多くの人の心に生き続けている高野山の案内犬ゴン。
九度山に足を運んだ際は、ぜひ慈尊院のゴンの碑にも立ち寄ってほしい。
取材・文/編集部
You Tube https://www.youtube.com/watch?v=llPri7Njgr0