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「地域猫」は迷惑?理解に温度差 嫌がらせ続く(福井県小浜市)

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「地域猫」は迷惑?理解に温度差 嫌がらせ続く

2017年7月8日(土) 福井新聞


6月に猫小屋が放火され、けがを負った猫(若狭地域猫の会提供)

福井県小浜市川崎2丁目で6月、住民ぐるみで育てる「地域猫」の猫小屋として置かれていた発泡スチロールが放火された事件。
一帯では捨て猫が多く、不妊去勢手術を施す地域猫活動は重要だが、理解を得られていない面もあるようで、事件はこれがエスカレートしたものである可能性がある。
漁業関連施設の多い地域だけに猫を迷惑がる人が出るのも無理はなく、捨て猫に歯止めがかからない中、根本的な解消は難しいのが現状だ。

小浜、おおい、高浜の3市町では「若狭地域猫の会」が2011年から、野良猫が増えないよう不妊去勢手術を施し、地域ぐるみで育てる地域猫活動を続けている。
同会の知原初美代表は、事件に対し「下手したら死んでいた」と憤りをあらわにした。
猫小屋には雄猫2匹が住んでおり、うち1匹を狙って火が放たれ、発泡スチロールの猫小屋が半分に溶けていた。
「ガスバーナーのようなもので、猫に危害を加えようとして火をつけたに違いない。でないとあんな溶け方はしない」(知原代表)。
以前にも、猫小屋を水浸しにするなど嫌がらせが続いていたという。
同会が3市町で登録している地域猫は109匹(2016年末時点)。
このうちの3割が、事件のあった小浜市川崎の猫だという。
同地域は魚市場や海が近くにあり、住宅が少ないことから「猫を捨てやすいのでは」と知原代表は分析する。
同会は実質、知原代表1人で運営。
不妊去勢手術にかかる費用は全て自己負担だ。
野良猫に与える餌代や治療費なども全て担い、年間約100万円はかかるという。
また年齢的に活動を続ける体力に不安もある。
「費用に退職金を充ててきたが、もう底を突く。体力的にも私が先に倒れてしまう」(知原代表)。
福井市、永平寺町、坂井市は6月から、不妊去勢手術費用の一部助成を始めた。
福井県でも費用の助成を秋から始める方針。
猫を捨てる人とのいたちごっこの中、行政の支援は欠かせないといえる。
同会の活動により事件のあった地域の野良猫は徐々に減少している。
地域猫をかわいがる人も少なくないが、ふん尿を迷惑がる人も多いという。
近くで働く80代男性は「猫がいて迷惑している。ここには魚を売る場所も多く衛生的にも良くない」と話す。
放火するのは論外だが、うろつく猫に納得できない人がいても不思議はない。
ただ地域猫は住民が協力しての管理が必要。
「なんとか猫の一生を全うさせたい」という活動の考えは貴く、持続させるためには住民に理解を持ってもらうしか手だてはないようだ。


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