「保護犬」を迎えるという事~愛犬リキの恩返し~
2017年4月23日(日) わんちゃんホンポ
犬を迎える方法(ペットショップ・保護犬)
今ほど避難・去勢が当たり前ではなかった時代、『ご近所さんの所で産まれちゃったから・・・』と犬や猫を飼い始める事が数多くありました。
しかし、時代の変化と共に『不幸な命を殖やさないよう避難・去勢を』と言う流れが生まれ、以前のように子犬に出会える場は減ってきているように思います。
更にCMの影響や有名人の影響(メディアを通して目にする動物たち)を受け、それがブームとなり、流行りの犬種をペットショップで購入するのが一般的になりました。
しかし、以前ほど不要に産まれる仔犬が減ったとは言え、保健所にはまだまだ人間の都合で殺処分される命があります。
飼い主の勝手な都合で持ち込まれる飼い犬たち。
人間が棄てた命が野犬となり、そこから繋がり殖えた野犬たち。
そんな中で、一番顕著に増えているのはブリーダー放棄による犬たちでしょう。
そんな犬たちが毎日絶えず収容され、命の期限を決められ、期限が来れば殺処分される。
残念ながら、これが日本の犬事情です。
しかし、この現状を変えようと沢山のボランティア団体が活動しています。
消されゆく命を迎えるのも、1つの選択だと言う事を多くの人に知っていただきたいと思います。
ペットショップの裏側
前述したように、「流行の犬種をペットショップで購入する」裏には一生仔犬を産まされ続ける親犬がいます。
もちろん親犬を大切にしているブリーダーさんもいます。
しかし、日本の動物愛護法では悪質なブリーダーが存在できるのです。
商売の為なら何のお構いなしに、犬を扱う悪質ブリーダー。
命ではなく商売道具として使います。
そんなブリーダーが不要になって放棄する親犬たち、また障害を持って産まれたり、見た目が悪い等、売り物にならない仔犬たち、そして売れ残った仔犬たち。
ペットショップが存在する限り、これらの弊害は無くならないでしょう。
我が家の保護犬
▲動物管理センターにて。左から2番目の白い犬がリキです。
我が家には4頭の保護犬がいますが、その内の1頭「紀州犬のリキ」について書きます。
先代犬が亡くなり4代目として2013年、殺処分直前に保護団体を通して動物管理センターから迎えました。
誕生日も元の飼い主の詳細も知らされないまま引き受けましたが、彼と過ごす内に過去を知らなければ・・・と思いました。
それは代々飼ってきた犬とは違う行動が多く見られたからです。
ご飯を食べた後に頻繁に嘔吐をする。
毛布、敷物、棒状のものを怖がる。
大きな物音を怖がる。
男性を怖がる。
ウンチをする時に鼻先を地面スレスレまで下げる。
ウンチの回数が他の子たちより少ない(4回に1回しかしない)。
目を合わせようとしない。
そこで、保護団体の方にリキの過去について聞いてわかった事があります。
男性の悪質ブリーダーに種付犬として使われていた。
お金がかからないよう、最低限のご飯しか食べさせてもらえなかった。
移動させる時にブリーダーが噛まれないよう、全身を分厚い毛布で覆われていた。
怒鳴られ、身体的虐待を受けていた。
排泄すると怒られ、叩かれていた。
この辛い過去を知り、恐怖で凍りついた彼の心を溶かす事に専念する事にしました。
とにかく沢山の話しかけ、沢山スキンシップを取る事を心掛けました。
1年程で嘔吐は治り、2年経つと毛布や敷物が使えるようになりました。
まだまだ男性は苦手ですし、傘など棒状のものが目に入るだけで逃げて行きますが、少しずつ解決される事を願い接しています。
リキからの恩返し
トラウマを解消するのに長い時間がかかるリキですが、少しずつ変化を見せてくれる姿は本当に感動的です。
そんなリキには感謝しても感謝しきれないエピソードがあります。
山の中で産まれた野犬の仔犬たちを保護した際、リキが父親代わりとなり彼らの面倒を見てくれたのです。
仔犬の中でも、生後半年経って保護した野犬の仔犬2匹は人間の私には手に負えませんでした。触らせてもらうどころか、同じ空間に私がいる事さえ拒絶していた仔犬たちに、リキが色々と伝えてくれたのです。
教育係リキのお陰で、何とか私との生活にも慣れ、2年経った今では誰一人欠かす事が出来ない大切な存在になりました。
保護犬を迎えるという事
ペットショップにしろ、保護犬にしろ、犬を迎える場合、最期まで一緒に過ごすという覚悟を決めてから迎えてください。
正直、犬は散歩が必要不可欠ですし、病気もします。
手間も時間もお金もかかります。
覚悟が無い方はどうか飼わないでください。
覚悟が決まった方は、ぜひ「保護犬を迎える」という選択肢を入れてください。
(ペットショップに卸される仔犬たちの親犬の事まで想像すると、買えなくなると思います。)
10人に1人が保護犬を迎えると、殺処分はゼロになるという統計が出ているそうです。
保護犬には色々な過去があります。
その全てを受け入れた時、愛犬との関係が更に良いものになっていく気がします。
皮肉ですが、犬を幸せにするのも不幸にするのも人間です。
保護団体の方から印象に残るお話を聞きました。
『1頭助ければ、2頭助かる事になるんです!』
1頭新しい飼い主さんが見つかれば、その空いた場所に別の1頭を保護できる・・・という事です。
虐待を受けていたリキのトラウマは、時に飼い主も辛くなる事があります。
でもそれを乗り越えた時、絆が強くなり何にも代え難い幸せを感じる事が出来ます。
リキくん、私を幸せにしてくれてありがとう!