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ねこブームの裏側に潜むもの

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ねこブームの裏側に潜むもの

2017年3月5日(日) @DIME



ブームがあろうとなかろうと、猫は猫、1つの命/©DM

昨今、あちこちで猫の露出度が高くなっている。
いわゆる、猫ブーム。
犬では昭和の時代にスピッツ、そして愛玩犬御三家と言われたマルチーズ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアが人気となり、その後はシェットランド・シープドッグやゴールデン・レトリーバー、シベリアン・ハスキーが人気犬種の仲間入り。
近年ではミニチュア・ダックスフンド、トイ・プードル、チワワなどが人気の上位を占めている。

そもそも、ペットにブームがあるというのはどうなのだろう?
ブームというのはそれがほんとうに素晴らしくて人気を呼ぶものもあれば、狙ってブームが作られることもあり、それに便乗するものも出てくる。
光があるところには、影もあるということだ。
あるペット種が注目されることによって、動物に興味をもったり、殺処分ゼロ運動やアニマルウェルフェア(動物福祉)などペットを取り巻く環境を真面目に考えるきっかけになったりするのであればいいことだ。
さらには、初めて、または改めて、ペットと暮らす機会を得て、その素晴らしさや幸せ、充実度を体感できたのであればなおいいこと。
しかし、いいことばかりではないということは忘れてはいけないだろう。
繁殖に携わる人たちの間には、その種にほんとうに愛着があって真摯に繁殖を続けている人もいれば、今は○○種が人気だからと、繁殖する種をころころ変えるような人もおり、また、それほどの知識はないままにお小遣い稼ぎに繁殖をする人(バックヤードブリーダー)、ろくな世話もせずにただ繁殖マシンのように動物を扱う人(パピーミルブリーダー)などもいる。
要は、より健全なコを遺すのではなく、売るための繁殖が行われることが多々あるということだ。
その結果どうなるか?
真面目なブリーダーであれば遺伝性疾患についても注意を払っているだろうが、そうでない場合は無頓着に繁殖を重ねることで遺伝性疾患を広めてしまうこともあれば、その種の本来の気質を歪めてしまうこともある。
プードルでは多くの犬で膝蓋骨脱臼(パテラ)が懸念され(先天性とは別に後天性のものもある)、本来は穏やかであるとされるゴールデン・レトリーバーの中にも、一部に噛む犬や粗暴な犬が出てきたのは乱繁殖のなせる業ではないのか?という意見もある。
現在人気の猫にあっては、骨瘤ができる骨軟骨異形成症が発症しやすいスコティッシュフォールドに関して、人気も高いことから乱繁殖された場合のことを心配する声もある。
さらには、ペットショップにおいて販売される猫の数も増える傾向にある一方で、ブームに乗り、猫を手に入れてはみたものの、結局は飼いきれずに飼育放棄状態になってしまうというケースも出てきている。
こと日本人の場合、「隣の家で飼っているから同じペットが欲しい」のノリで、そのペットが自分に向くかどうか、自分がそのペットを飼えるだけの環境にあるかどうかを考えず、短絡的に手を伸ばしてしまうようなところがあることは否めない。
犬猫の殺処分数は、平成元年(1989年)に犬約68万7,000頭、猫約32万8,000匹だったものが、平成26年(2014年)には犬2万1,593頭、猫7万9,745匹まで下がってきてはいるが、犬の殺処分数は緩やかな下降カーブを描いているのに対して、猫の殺処分数は犬ほどの下降率を示していない。
世は殺処分ゼロに向けての気運が高まる中で、それに逆行するかのように、猫ブームが安易に猫を飼い、そして放棄する人などを増やしてしまう可能性もあり得るということは憂えるところだ。
やがてブームが去る時が来たとしたら、その時に残されるものは・・・。
人間とは違う別な命とふれあうということは、いろいろなことに気づきを与えくれ、学ぶところが大きく、幸せも運んでくれる。
これからペットと暮らしたいという方は、ブームに安易に流されるのではなく、一つの命ある生き物なのだということをしっかり考えた上で、ペットとの暮らしをエンジョイしていただきたいものだ。
文/犬塚 凛

全国の犬・猫の殺処分数の推移



全国の犬・猫の殺処分数の推移「猫」/出典:環境省ホームページ
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h26_dog-cat37.pdf


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