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警察犬の力、私が引き出す 県警初の女性訓練士(千葉)

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警察犬の力、私が引き出す 県警初の女性訓練士(千葉)

2017年2月17日 朝日新聞


河合みどり巡査部長と警察犬のイルザ=成田市の県警の訓練施設

優れた嗅覚(きゅうかく)を生かし、犯罪捜査や行方不明者の捜索の現場で活躍する警察犬。
県警初の女性ハンドラー(訓練士)として手綱を持つのが、鑑識課の河合みどり巡査部長(38)だ。
担当になって間もなく3年。
相棒のシェパード犬の能力を最大限に発揮させるため、試行錯誤を続けている。
愛知県田原市(旧渥美町)出身。
東京都内の大学を卒業した2001年4月に県警に入った。
警察官は小学生からの夢だった。
「友達にいじめられて泣きながら下校していたら、警察官が駐在所に招き入れて話を聴いてくれた。うれしくて、ほっとした。あんな人になりたいと思った」
警察人生の大半が刑事。
性犯罪や医療事故の捜査のほか、鑑識をやった。
ハンドラーを目指したのは犬が好きだったから。
14年5月に希望が通り、イルザ・フォム・ハイメリヒ号(メス、4歳)を任された。
警察犬は遺留品の臭いを記憶すると走り出し、すぐに持ち主を見つけ出すイメージが強い。
ただ、現実は違う。
発生直後に活動できることは少なく、大半の現場には臭気が残っておらず、犬は捜索をやめる。
問われるのがハンドラーの手腕だ。
家族や目撃者に話を聴き、捜す相手の行き先を想像して捜索場所を決め、犬を連れて行く。
情報がなければ経験則に頼る。
犬が察知した臭気に自信が持てずハンドラーに知らせるべきか迷うケースもあるため、小さな変化を見逃さないことも大切だ。
やる気のない時は励ます。
集中力がもつのは1~2時間。
訓練とスキンシップをどれだけ重ねたかが物を言う。
河合巡査部長とイルザは1年ほど前、家出をした小学生を無事に発見した。
家族からの通報は深夜。
家の周囲に臭気はなかった。
家族を落ち着かせてじっくり話を聴いた。
父親がつぶやいた。
「低学年の時に秘密基地を作った公園がある」
2キロほど離れた公園に車で向かった。
20分ほど捜索してイルザが反応した。
茂みの中に、捜していた男児を含めて4人の小学生が毛布や寝袋にくるまって寝ていた。
朝が迫っていた。
ただ、こうした例は少ない。
犬が捜していた人を見つける確率は1割に満たない。
「イルザの力を引き出し、警察活動の幅を広げたい」。
出動は年に約200回。
行方不明者らの足取りと捜索場所を重ね、自分の判断を検証する日々だ。
女性の特性を生かしたハンドラーを目指す。
「小学生の時に不安をぬぐってくれた警察官のように、事件の被害者や行方不明になった人の家族にいつでも優しく接し、期待に応えたい」
(八木拓郎)
   ◇
〈警察犬〉
臭気を頼りに事件の犯人を追跡したり行方不明になったお年寄りを捜したりする犬。警察が所有する「直轄犬」と民間が飼育して審査にパスした「嘱託犬」がいる。県警の直轄犬は引退犬1頭を含む8頭で、いずれもシェパードのメス。嘱託犬の登録は52頭(2016年度)で、直轄犬が対応できない時に現場に出動する。警察はこうした犬のほか、災害現場で被害者を捜す「災害救助犬」や爆発物を捜す「警備犬」も運用している。


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