柴田部長、ほっこり写真集 「保護犬の存在に目向けて」
2016年12月25日 朝日新聞
和詩倶楽部の田中秀典社長と写真集の出来栄えを確認する柴田部長=中京区
元保護犬で、京都府中京区の和紙小物店「和詩倶楽部」の特命広報部長として人気の柴犬(しばいぬ)、柴田部長(推定11)。
京の町並みや会社で撮影した写真を集めた写真集「はたらく柴田部長」が出版された。
撮影・執筆は、飼い主で柴田部長の「秘書」を務める女性(37)。
「部長が活躍する姿を通して、保護犬の存在にも目を向けてもらえたら」との願いを込めた。
今回の写真集では、同店での様子や、四季折々の京の町を楽しむ姿など、ほっこり癒やされる写真約100枚を掲載。
一緒に暮らす保護犬でテリアのハンナ(12)とのツーショットなど、これまでSNSで公開してきた写真に加え、伏見稲荷や南禅寺などでの未公開写真も満載だ。
写真説明やあとがきは英訳もされ、国内外のファンから人気を集める。
店舗や会社への出勤時は蝶(ちょう)ネクタイをつけ、お客さんとの写真撮影に気軽に応じる柴田部長だが、実は9年前、殺処分直前で保護団体に引き取られた捨て犬だった。
譲り受けた秘書は「つらい記憶があるのか鎖につなぐと嫌がったものの、当時から人懐こく、ほえ癖もなかった。なぜ捨てられ、処分対象となるのか不思議だった」と話す。
秘書の家にやってきた当初から、部長は「カメラ目線」が得意。
散歩をしていても、かぶり物をかぶらせても、嫌がることなくカメラの方を向いてくれる。
最近は撮影のご褒美のおやつ目当てに、カメラを取り出すだけでテンションが上がる。
そんな愛らしい姿をSNSに投稿すると、たちまち話題となった。
店で販売するポチ袋のモデルにも起用されると大ヒット。
「日本一の美柴」としてメディアへの露出も増え、被災動物や保護動物を支援するチャリティーイベントなどにも積極的に参加するようになった。
本のあとがきには、柴田部長を譲り受けてから、犬の一時預かりボランティアを始めた秘書の思いもつづられている。
「人慣れしていない犬が何カ月もかけてようやくシッポを振ってくれるようになるなど、保護犬ならではのだいご味もある。保護施設から犬を譲り受けるという選択肢を考える一つのきっかけになればうれしい」
部長の出勤は不定期だが、同社ホームページ(http://www.washiclub.jp/)で予定を確認できる。
問い合わせは和詩倶楽部(075・231・4577)。
(森泉萌香)
絵本「はたらく柴田部長」
編:和詩倶楽部
出版社:小学館
定価:1,200+税
〈 書籍の内容 〉
伝説の「広報部長」犬、待望のフォトブック
自ら"出演"のぼち袋を15万枚売り、いまもシリーズ商品が大人気。京都の和紙店・和詩倶楽部の広報担当「柴田部長」は、もともと保護犬だった11歳の柴で、飼い主さんの大きな愛に包まれみるみる「イケメン」に成長しました。
「ぽち袋だけに、商品デザインにポチが欲しい」という社長の一言で、スタッフである飼い主さんが連れていた柴田部長に「商品モデル」として白羽の矢がたったのです。
美しい古都の風景、四季の行事からオフィスの中の姿まで、ファンならずともうっとり・ほっこりする写真がいっぱい。
また、写真には部長の「ヒミツ」を明かす、クスッと笑えるコメントと英文が添えられています。
世界的柴犬ブームのいま、「京都X柴田部長」のフォトブックは国内外のご友人へのプレゼントとしても最適! また、自宅にオフィスに一冊置いて、忙しい毎日の「癒やし」にも。