杉本彩「愛情を捧げた人は、素敵な愛を感じられるはず」猫に教えられた大切なこと
2016/12/11 ウートピ
近年、ますます高まる猫ブーム。
しかし、その裏側では、6万頭もの猫が殺処分*されるという悲しい現実も。
そこで、ただ可愛いと愛でるだけではなく、“猫を取り巻く問題を楽しみながら知ってもらおう”というイベント「ネコ市ネコ座 with ピュリナ~ホゴネコ文化祭~」が11月5日〜11日ネスカフェ原宿にて開催されました。
自走型保護猫カフェのネコリパブリックが主催したものです。
本イベントには、女優やダンサーという面だけでなく、動物愛護活動家としても知られる杉本彩さんも登場。自ら保護猫活動を行い、公益財団法人動物環境・福祉協会Evaの理事長を務める杉本さんに、猫との出会いや保護猫の魅力を語っていただきました。
動物でも人でも、縁があるものは特別な存在
――杉本さんと猫の出会いを教えてください。
杉本彩さん(以下、杉本):物心ついた子供の頃から、猫と一緒に暮らしていました。覚えている中では、小学生のときに譲り受けたシャム猫が、最初ですね。その頃から猫を“買う”のではなく、“引き取る”ということに何の迷いもなくて、とても喜んだ記憶があります。
それから長く一緒に生活していくうちにますます好きになっていき、今では家に猫が8匹、犬が3頭の大家族になりました(笑)。
――杉本さんは保護猫活動にも力を入れていますね。保護猫の場合、難病を抱えている猫と出会う場合もあります。そうした猫を引き取る決意、また、大変さを超える幸せがありましたら教えてください。
杉本:私自身の体験からお話しします。5年前に“さくら”という黒い猫を引き取り、約2年半、元気に暮らしてくれました。今は天国にいますけどね。
さくらは、最初から全く歩けなかったんです。小脳にも障害があって、ご飯を食べているときも常に揺れている感じ。さらにエイズキャリアでもあり、里親を見つける可能性が極めて低い子でした。行政の施設で出会ったとき「自分が引き取らなかったらどうなるんだろう」と心配になり、再び施設を訪れて引き取ることにしたんです。
愛を注ぐことによって、変化していく
――実際に引き取られてみて、大変でしたか?
杉本:そうですね。もともと歩けませんでしたし、ほかの子の何倍も手がかかるのは重々覚悟をしていましたが、どんどん悪化していき、動けなくなりました。最初はできていた寝返りすら出来ない状態になり、さまざまな工夫をしました。
ずっと寝たきりだと身体に悪いからと、車椅子を作って1日に何時間かは体を起こして生活できるようにしたり……。初めて床ずれを作ってしまったときには、なんとか治してあげなければと、自分の浅はかさをとても反省しました。知識不足でしたし、もっともっとその子の目線に立って考えてあげるべきだったと。
そのとき、思いやりというのは本当に相手の立場に立って想像することなんだと、強く感じたんです。さくらと出会って、自分が気づいたこと、得たもの、学んだことはものすごく大きくて……本当にたくさんあります。
――出会えてよかったですか?
杉本:はい。天国に見送るまで、ものすごく手もかかったし、いろんな人のサポートも必要でした。大変だったのは事実ですが、それ以上に深い喜びを感じています。さくらと出会えていない自分と、出会えたあとの自分は確実に人間として違うと断言できます。
――保護猫に興味がある人にメッセージをお願いします。
杉本:保護猫は本当にかわいいですよ。最初は警戒心が強く個性を出せない子もいますが、信頼関係を構築していくと、別人ならぬ“別猫”ぐらいに変わります。自分が愛を注いだことによって変化してくれたときは感動します。
それから、保護猫には成猫も多いのですが、彼らは性格が確立している分、迎えたときの生活が想像しやすいというメリットもあります。落ち着いた大人の猫は暮らしやすいですよ。
無邪気な子猫はもちろん可愛いですけど、それは一瞬。それよりも、10年、20年、長く過ごしていく時間を、どれだけ充実して素敵なものにできるかということに、もっと重点をおいて考えていただきたいですね。
動物でも人でも、縁を育めるものって特別なんです。過去に愛情を注げたことがあるならば、また違う形でも素敵な愛を感じられるし注ぐことができるはず。それが自分のためでもあり、また迎える動物のためでもあるんですよね。最後まで一緒にいる責任と覚悟ができたときには、保護施設から引き取ってほしいと思っています。
「ネコ市ネコ座 with ピュリナ~ホゴネコ文化祭~」
「公益財団法人動物環境・福祉協会 Eva」
「ネコリパブリック」
(望月ふみ)