「犬も猫も殺処分されない世の中に」野良猫や保護犬と暮らす愛子さまの深い愛
2016.12.02 Spotlight
皇太子ご夫妻の長女・愛子さまが、12月1日に15歳の誕生日を迎えられました。
宮内庁は、愛子さまの誕生日に合わせて、先月23日に撮影された映像を公開。
ほっそりとされた愛子さまのお姿も話題になりましたが、同じくらい注目を集めたのが愛子さまの膝に乗った猫・セブン。
実はこの春、愛子さまが可愛がっていた6年前に保護した猫の親子の母猫が亡くなってしまいました。
その後を引き継いてやってきたのが子猫のセブン。
懇意にしている動物病院が保護していた子猫を譲り受けられたそうで、9月から愛子さまが世話をされているそうです。
実は、これまで愛子さまの飼われてきた動物たちは、すべて保護犬や保護猫なのです。
捨てられていた子犬の由利
公式写真や会見などでも、一緒に登場する事が多いのが、保護犬の柴犬系雑種の由利。
由利も、懇意にしている動物病院から譲り受けた犬です。
生後2ヶ月の時に捨てられ、里親さんを探していました。
それまで飼っていた雑種の犬・ピッピとまりのうち、まりが老衰で亡くなってしまい、その後を継ぐ形でやってきたのが由利です。
このピッピとまりも、実は保護犬。赤坂御用地に迷い込んだ犬が出産、その子犬を引き取ったのです。
「亡くなったまりに似た雑種の犬が良い」という愛子さまの希望でやってきた由利。
由利の名前は、亡くなったまりに似たお名前という事で、愛子さまがお付けになったのだそう。
小学校の卒業文集に寄せた作文が素晴らしい
2014年の学習院初等科卒業の際に、愛子さまが卒業記念文集『桜愛集』で動物達に対する思いを綴った作文を書いていらっしゃいます。
この卒業文集『桜愛集』は、生徒が自分たちで3つの題材を決めて、構成を考えてから、約1か月かけて文章にするというもの。
その年のテーマは、「思い出」「12才の心」「夢」の3つでした。
ニュースなどでは「思い出」がテーマの「大きな力を与えてくれた沼津の海」という作文が紹介されていましたが、実は他の3つのうち2つは動物への思いを綴ったものだったのです。
一頭一頭の違いこそが魅力であり共に暮す楽しみ
「12才の心」というテーマの作文のタイトルは「犬や猫と暮す楽しみ」
今、私の家には犬が一頭と猫が一頭います。犬の由利は、私が二年生の春に保護され、生後二ヶ月半位で私の家に来ました。来て数日で家にも慣れ、元気良く走り回っていた事を覚えています。成犬になった今も子犬の時と同じように、家族が帰ってくると、しっぽを振りながらおもちゃをくわえて走り回り、喜びを表現しようとしています。
出典卒業記念文集『桜愛集』
猫達は、私が三年生の春に、家の庭で生まれた子猫とその母猫です。元は野良猫だったので、なれるのに時間はかかりましたが、今ではすっかり慣れ、甘えて鳴いたり、なでると目を細めてゴロゴロ言ったりしています。
出典卒業記念文集『桜愛集』
なかなか慣れない野良猫と心を通わせてゆくなど、子供の頃から、保護犬や保護猫に囲まれていた愛子さまは、動物への深い愛情をごく自然に身につけられたのでしょう。
私は、飼っている犬や猫と過ごす時が、一日の中で心が和む楽しい時間です。犬や猫は人間と同じように、一頭一頭顔も性格も違います。この違いが犬や猫などの動物の魅力でもあり、一緒にいる事の楽しみでもあります。
出典卒業記念文集『桜愛集』
殺処分に心を痛めた事を綴った作文も
そして「夢」をテーマにして書かれた『動物たちの大切な命』という作文。
道徳の授業で、「ペットの命は誰のもの」という番組を見て、私は、年間27万頭以上もの犬猫が保健所などで殺処分されている現実を知りました。動物達にも命があるのに、なぜ殺されなければならないのか、かわいそうに思いました。
出典卒業記念文集『桜愛集』
私の家では犬一頭と猫2頭を飼っています。みんな保護された動物です。前に飼っていた二頭の犬も保護された犬でしたが、どのペットも、可愛がって育てたらとても大切な家族の一員になりました。動物がいることで癒されたり、楽しい会話がうまれたりして、人と動物の絆は素晴らしいものだと実感しています。
出典卒業記念文集『桜愛集』
私が飼っている犬は、病院に入院している子供達を訪問するボランティア活動に参加し、闘病中の子供達にもとても喜ばれているそうです。また、耳の不自由な人を助ける聴導犬や、体に障害のある人を助ける介助犬は、保健所に収容された、飼主の見つからない犬達の中から育成されて、障害のある人々の役に立つ素晴らしい仕事をしているそうです。
出典卒業記念文集『桜愛集』
私はこのような、人と動物の絆の素晴らしさや、命の大切さを広く伝えていかれたらよいと思います。そして、犬も猫も殺処分されない世の中の実現に向けて、たくさんの人に動物の良さが理解され、人も動物も大切にされるようになることを願っています。
出典卒業記念文集『桜愛集』
怪我したタヌキを保護したことも
また、皇太子ご一家は、赤坂御用地で怪我をしていた野生のタヌキを見つけ、保護したことが伝えられたこともありました。
宮内庁によると、散策中に動けないタヌキを見つけた雅子さまが皇宮警察官に伝え、保護した後に都内の動物病院に運んだとのこと。
そしてある程度回復した後、鳥獣保護法に基づいて一時保護の許可を取り、自然に戻すまでの間、東宮仮御所でご一家が保護、世話をしていました。
雅子妃殿下は、なかなかケージから出てこない狸に『いつでもいいよ。安心して出てきてごらん』とやさしく声を掛けられたといいます。
愛子さまは狸がお母さんやお友達に会えるかなとずっと心配されていたようですが、雅子妃殿下は『信じて。きっと会えますよ』と頷かれていたそうです。
出典『週刊文春』2009年12月17日号
ケージから出てこない狸を無理に出すことなく、そのまま見守っていた愛子さま。
その後、タヌキは自力でケージから出て行き、雅子さまは「待つといいことがありますね」と愛子さまにお話しになったそうです。
『夢』がテーマの作文で、「動物達の殺処分がない世の中の実現」を選択された愛子さま。幼い頃から、保護犬、保護猫と暮らし、怪我をした野生動物を自然に還すお手伝いをしてきたからこそ、生まれてきた夢なのでしょう。
「さまざまな経験を積んでほしい」との皇太子ご夫妻のご希望もあり、今春以降が公務などに同行する機会を増やされている愛子さま。
15歳になり、ますます皇族としての活動の幅を広げられていくのでしょう。
優しく聡明にご成長されている愛子さま、今後が楽しみですね。
以 上
愛子さまの写真