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盲導犬受け入れ拒否

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盲導犬受け入れ拒否 宮城で後絶たず

2016年12月3日(土) 河北新報


視覚障害者の足元でおとなしく待機する盲導犬(日本盲導犬協会提供)

盲導犬を同伴した障害者の受け入れを、飲食店や公共施設、交通機関が拒むケースが宮城県内で後を絶たない。
盲導犬の受け入れは2002年施行の身体障害者補助犬法で義務付けられ、今年4月には障害者差別解消法も施行されたが、抜本的な解決には至っていない。
日本盲導犬協会仙台訓練センターによると、同協会の盲導犬を利用する県内の視覚障害者は15人で、受け入れ拒否の報告は15年が10件、今年は11月までに9件あった。
金井政紀センター長は「報告が来るのは相当腹に据えかねたケース。実数は何倍もあるだろう」と説明する。
拒否したのは飲食店がほぼ半分で、他にはホテル、医療機関、タクシー、スポーツ施設、神社と多岐にわたる。
職業訓練校や自治体庁舎の食堂といった公の施設でもあった。
医療機関を巡っては厚生労働省がホームページやパンフレットで「受け入れ義務がある」と呼び掛けるが、仙台市内の大規模な病院でも受診や見舞いの拒否が発生している。
補助犬法は犬の健康衛生の管理を利用者に義務付ける。
犬は迷惑を掛けないよう特別な訓練を受ける。
「待合室や診察室、病室など一般的な患者が入れる場所ならば盲導犬の受け入れに問題はない」と金井センター長は理解を求める。
交通機関では今年、格安航空会社が盲導犬利用者4人のグループに「1機につき受け入れは1匹」との理由で予約を断った。
グループは大手航空会社への予約変更を余儀なくされた。
宿泊予約でも盲導犬同伴を告げると満室を理由に断る施設が少なくない。
盲導犬協会は「受け入れ拒否の可能性がある」とみる。
拒否の報告があると、協会は店や施設に事情を聴く。
法律を知らなかったり、事業者の受け入れ方針が現場に浸透していなかったりするケースが多い。
70%は一度の説明で解決するが、交渉を繰り返しても改善しないケースが5%あった。
金井センター長は「ほとんどの問題は解決するが、ショックで外出に消極的になる障害者がいる」と指摘。
「盲導犬はきちんと行動する。受け入れ側が特別な準備をする必要はなく、不安があれば利用者に何でも尋ねてほしい」と話す。

[身体障害者補助犬法、障害者差別解消法]
補助犬法は盲導犬と介助犬、聴導犬の受け入れを、国や自治体、交通機関、不特定多数が利用する商業施設、病院、従業員50人以上の民間企業に義務付ける。
解消法は障害者への不当なサービス拒否、制限を禁止。障害者の意思表明があった場合、社会的障壁を取り除くための合理的な配慮を公的機関、民間事業者に求める。

盲導犬は体の一部 拒否は存在否定の思いに
「初めは寂しさと憂い、その後、いくら話しても理解してくれないことへの怒りがこみ上げる」
宮城県加美町で治療院を営む西塚敏也さん(58)は11月上旬、仙台市中心部のラーメン店で入店を拒否された。
日本盲導犬協会の職員2人と入ろうとすると、カウンターが3席空いていたが、店員に「動物は駄目」と断られた。
「法に基づいた盲導犬ですよ」と説明したが、「社長に駄目と言われている」と聞き入れない。
押し問答になり、「警察を呼ぶぞ」とすごまれたという。
当時不在だった店の運営会社の社長は取材に対し「店員は犬のスペースを作るため、テーブル席が空くまで待ってほしいと考えた。受け入れは拒んでいない」と主張する。
不適切な言動があったことは認め「社員の教育を徹底する」と語る。
協会によると、盲導犬は椅子の下にうずくまるので特別なスペースは必要ない。
利用者にとって盲導犬は体の一部で、拒否に遭うと自身の存在を否定された思いがするという。
西塚さんは「拒否されるのが怖くて未知の場所に行きづらくなる。盲導犬を同伴することで逆に行動が制限されるのは悲しい」と話す。


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